日本学校教育相談学会 会長 挨拶
ごあいさつ―「コロナ時代」」と学校教育相談への期待―
日本学校教育相談学会 会長 春日井 敏之
「コロナ時代」と呼ばれる未曽有の状況は、子ども、保護者、教職員にも様々な影響を及ぼしてきています。
学校行事や部活動などが中止・縮小となり、学年を超えて関わり合い、文化を創造・伝承していく機会が失われた子どもたち。仕事が不安定になったりリモートワークが重なったりして、子どもにストレスをぶつけ虐待のリスクを高めてしまうような保護者。コロナ感染対策と授業の工夫、行事の再検討や子どもとの関わりにエネルギーを費やし疲れている教職員などです。
人がつながって生活していくための潤滑油としてのたわいもない会話や笑い声など、感情交流や共感の場が乏しくなっていった影響は計り知れません。このような状況のなかで、対話と共感の姿勢と関わりを大切にした学校教育相談への期待は、ますます高まっているのではないでしょうか。
日本学校教育相談学会は1990年2月に発足し、会員の皆さん方の不断の努力によって、30年余りに亘り実績が蓄積されてきました。本学会の特徴は、35に及ぶ支部の創意工夫ある活動を尊重しながら本部と支部が連携し、実践、研究、研修、資格認定などに取り組んできた点にあります。
また、2019年4月には、一般社団法人日本学校教育相談学会が設立され、法人である本部と各都道府県・指定都市に置かれている支部により構成される学会としての歩みを進めることになりました。さらに現在は、公益社団法人としての認定を申請しているところです。
一般社団法人日本学校教育相談学会の定款第3条では、「この法人は、学校教育相談の実践を通して、研究や研修等を行い、会員相互の資質の向上と学校教育相談の普及充実を通して社会に貢献することを目的とする」と明記されています。
第4条には、事業として、
(1)学校教育相談の研究の支援に関する事業
(2)学校教育相談の研修の支援に関する事業
(3)学校教育相談の実践の支援に関する事業
(4)資格認定に関する事業
(5)その他,この法人の目的を達成するために必要と認める事業
の5点が記されています。
研究、研修、実践、資格認定、その他の事業を通して、「学校教育相談の普及充実を通して社会に貢献する」ためには、関係機関・関係学会との連携が重要となっています。
具体的には、日本学校カウンセリング推進協議会に本学会も参画し、本学会認定の「学校カウンセラー」を基盤とする「ガイダンスカウンセラー」の資格取得と普及のために連携を強めてきています。
その成果は、文部科学省が、「スクールカウンセラー等活用事業に関するQ&A」(2020)のなかで、スクールカウンセラーの選考にあたり、公認心理師、臨床心理士、精神科医、大学の関係者に加えて、「⑤ 都道府県又は指定都市が上記の各者と同等以上の知識及び経験を有すると認めた者」について、「例えば、学校現場における心理支援の実務の実績を重視する一般社団法人日本スクールカウンセリング推進協議会の認定に係るガイダンスカウンセラーなど、心理及び学校教育に関して専門的な知識・経験を有する者が想定されます。」と明記しているところにも表れています。
本学会の強みである学校現場における学校教育相談、学校カウンセリングに関する諸活動に磨きをかけながら、子どもと教育のために、地域・社会のために何ができるのか考え、引き続き一緒に取り組んでいきましょう。